カサジゾウ
2006 / 12 / 21 ( Thu ) この街で一番空に近い場所。遠く山の向こうまで見える場所。僕はずっとここから君を見守ってるよ。
昔はここにもイッパイ人がいたんだ。神社にお参りに来る人が大勢いて、境内で遊ぶ子供達が居て。年中賑わってたんだよ。春には桜が咲いて、夏には木々の影が溢す光が眩しくて、秋には紅葉が美しくて、冬は雪がフワリフワリと舞う。そんな年中が生きている場所なんだ。みんなの心のどこかに存在する場所なんだよ。 時代が変わるにつれて人は減っていく。境内で遊んでいた子供達も歳をとって、オジィちゃんオバァちゃんになって、いつの間にか姿を見なくなった。寂れた境内に人は寄り付かなくなった。いつしか忘れ去られたこの場所。みんなの心から遠ざかっていく。 誰も来なくなって、どれくらいの時が経ったんだろう。人の声も、顔も僕の記憶から段々と薄れていく。僕はずっと眠っている。ずっとずっと、たぶん醒める事は無いんだろう。そう思ってた。 久しぶりに人の声を聞いた時、僕は目を覚ました。その声の持ち主が君だったんだ。その日から君は毎日毎日この場所まで来ていた。いつしか君は僕に語りかけた。その声を僕は今でも覚えているよ。その時の言葉も、その時の君の心も。嬉しかったから。それから君は毎日僕に話しかけてくれた。雨の降る日も、雪の降る日も、君は傘をさして話しかけてくれた。 雨が降ってて、風が強い日だった。その日も君は来たよね。でも君はずぶ濡れだった。君の片手に握られた黄色い傘。それを君は僕にくれた。温かくて、なんだか眩しくて、そして寂しかった。傘をくれた日から君は突然来なくなった。君は結婚してどこか遠くへ行ってしまったみたいだね。 君がくれたもの。それは人の温かい心。触れてみて初めてわかる温もりを、僕は感じることができた。 傘、ありがトウ。僕・・・・・似合ッテ・・・・ル・・・・・・・・カナ? |
アトガキ(長いから覚悟しな)
2006 / 01 / 16 ( Mon ) なんで4つのお話を書いたんか。そんなことを書こうと思う
前から頭の中に"小さな"って言葉があった でぇ"高台の小さな石"を書く前日の夜、風呂入ってボケェ〜としてた そしたらポーンと"俺は石ころ"って言葉が浮かんで 石ころかぁ〜って"石ころ"について考えてた 石ころ・・・道端に転がってて、誰にも気づかれない。たまぁに蹴り飛ばされる。 そんな石ころが俺によく似てるよぅな気がした だから、そんなことを書こうって思ってんけど なんでか俺の指が、俺の体が、俺の腐りきった脳ミソが完全に拒否した "小さな"って言葉と"石ころ"が合わさって小石になった時に "僕は小石"ってフレーズが浮かんで そこからドンドン世界が広がっていった それを書いたのが"高台の小さな石" 書いてくうちにどんな小石にも物語があってもいいよなぁって思ったわけ んで話しは全然変わんねんけど 自分の部屋に居てたまぁに思うことがある 俺の部屋は5畳くらいで4方を1枚の壁で囲ってある その空間の中に居る俺には外って言うのは見えへんわけやん? その時、俺の見えない部分、いわゆる壁の向こう側ってどんな風になってるんやろぅって思う 当然、そこにも空間があってオカンが居たりする 部屋から1歩出れば今まで見えなかった空間に立って、存在を確認する 当たり前のことやけどねw そんなことを考えてる時って"自分が世界の中心に居る"よぅに思えるよね でも実際は全然違う 人間なんて宇宙の中心からハズレまくりで、宇宙に存在する生命からすれば端っこの端っこの端っこに居るわけで、もしかしたら論外かもしれへん でも端っこに居る人間にもそれぞれの命があって、それぞれの物語がある 皆が"自分の物語の主人公"で、皆が"誰かの物語の脇役" 自分は誰かの物語に出てくるわけで 自分の物語にも誰かが出てくる 物語はリンクしてる 俺の物語に誰かが出演してる時、誰かの物語に俺も出演してるってこと リアルタイムに物語は進行してリアルタイムに演者が現れる 例えば、フジテレビが生の中継で読売テレビの生放送番組に乗り込むよぅな感じ その物語のリンクはドンドン繋がって行って 大きな網みたいになって 1つの物語"地球の物語"になる 地球に住む皆と遠くても物語が繋がってる そこに宇宙人が来たら 宇宙人と触れ合ったNASAの職員の物語に宇宙人が出てくる その時、"地球の物語"は"宇宙の物語"と繋がって さらに大きな物語の一部になる 広い"宇宙の物語"の端っこの端っこの端っこに"地球の物語"があって "地球の物語"の細かい網の中に自分の物語がある そんなことを4つの物語を書いてて思ったわけ 小石の物語に出てくるアリにも岩にも鳥にも雲にも 過去があって、現代があって、未来がある その過程に関わったモノが物語の演者となるわけ とまぁ昨日ね お話を"場面とかイメージできるし良いと思うよ"的なこととかw "絵本になりそうで好きだなぁ"的なこととか そんな事を言ってもらえてさ 嬉しかったねぇ 書いてよかったなぁって思った でもまぁこの4つのお話で俺が伝えたかった事ってのはこぅ言うことで 俺の書き方がヘタクソやから伝わらへんかったと思うけどw この"アトガキ(長いから覚悟しろ)"を読んでもらって 解りにくいかもやけど・・・俺が言いたいことを少しでも心に留めて また4つの物語、いや1つでもいいや 読み返してもらえたら幸いかと思うわけです 俺の言いたいこと伝わったかな?w やっぱお話書いてるほうが楽かもしれんw(ぁ |
時の端を見た雲
2006 / 01 / 16 ( Mon ) ワシを世間は雲と呼ぶ
だからワシは雲と言う存在 風に流され世界を見てきた 世界は広く、時に狭い ワシは多くの事を見てきた 渡り鳥の話を聞き カラスの子の話を聞き 人間達を見ている 1人の人間の話をしよう 川縁で小石を投げている女の話だ ワシは少女時代から女を見て来た 女の家は川から近くはなかった それでも毎日どこからか小石を拾っては川まで歩いて行く 空を見上げながら川まで堤防を歩いて行く 女は常に1人だった 少女だった女は毎日1人で学校に向かい1人で家へと帰る 帰り道に小石を拾っては川まで行き投げていた そんな日が何日も何年も続いていたが 女は毎日欠かさず学校に行き、帰りに川に寄る しかし、雪の日のこと いつもと同じように堤防を歩き川まで行くと 1人の女が川の側のベンチに座っていた 小石を持った女は構わずいつもと同じようにポケットから小石を出して投げている ベンチに座っていた女も一緒に小石を投げた 2人は顔を合わせお互いを笑いあった その日から2人は同じ時間に小石を投げた ワシの知る限り女に初めての"友達"ができた瞬間だったのだろう 最後にワシから見れば遠く、そして小さな心を知ることができ もうすぐでワシの時が止まる 生きとし生ける者全てに平等に与えられる自分だけの時間 あの女はその限られた時間の中で喜びを見出した 自分なりの喜び、自分の影のような存在を ワシも最後にして見つけられたような気がした それだけで十分じゃ カラスの子が言っておったか 「いろんな命にいろんな物語がある。それを知りたいんだ。いつかジィサンに話してあげるよ」 お主、探すのが少し遅かったようじゃ だがワシも1つだけ物語を知っておる お主が近くで見ておったはずの物語をな おわり。 |
風と知る鳥
2006 / 01 / 15 ( Sun ) 俺は鳥
正確にはカラスだ 川縁で水を飲むのが日課 風に身を任せ飛ぶのが好きで 毎日風に流されて遊んでるんだ 俺は雲と話せるんだぜ? 雲のジィサンは物知りでさ いろんな事を知ってるんだ 「よぉジィサン。今日も風が良い感じだな」 「ぉお、カラスの子か。今日はどうしたのだ?こんな高い所まで」 「ジィサンに教えてほしいことがあるんだ」 「毎回の事じゃが、勉強熱心じゃの」 「今日は色々見て色々知ってるってどんな感じかな?ってね」 「なるほど。つまりワシの心中が知りたい訳じゃな?」 「ま、そゆこと」 「いいだろう。ワシもそう長くはなかろうからな」 「どうゆうことだ?」 「自ずと答えを知るじゃろうて」 「なぁんだ。で?どんな感じなんだ?」 「そうじゃな、ワシは知ってはいるが全てを知っているわけではない。だからワシの心中もワシにもわからんのじゃ」 「へ?なんだよそれ」 「お主は自由に動くことができる。答えはお主が知ることになるじゃろう」 言ってることがよくわからない 今日も川縁で水を飲みに降りる 俺のお気に入りの水飲みポイントには 川縁の長って言う岩がいるんだ 俺が初めてココに来た時からずっと居るんだぜ? そこからずっと反対側の岸の方を見て色んな事を考えてるから 川縁の長だ。俺が名づけたんだぜ? 「こんにちは。今日の水は冷たいでしょう?」 「そうですねぇ、体の芯まで冷える感じですよ」 「もうすぐでそこの小石が気づきますよ」 「え?この小石が?長みたいに?」 「そう私達みたいな石はいつ気づいたのかわからないけど、いつからか意識を持つようになるみたいです」 「じゃあ長みたいに色んな事を考えるようになるのかな?」 「そうですね。私も楽しみですよ」 それから3日後、本当に小石は気づいたんだ 長が嬉しそうだったから俺も嬉しかった 何か長の役に立つ事ができたら喜んでくれるかな? ある日、長は体の一部を高台の向こう側に置いてきてほしいと頼んできた 俺はその長の一部を咥えて運んだんだ 喜んでもらえたかな? でも落としてしまったんだ ずいぶんと高い所から落としてしまったからわかんなくなってしまった 長の一部はどこに行ってしまったんだろう とりあえず長に謝ろう 「そうですか、あなたが運んでくれただけで十分ですから。そんなに恐縮にならないでください」 今日も風に乗り雲のジィサンに逢いに行く 「お主もわかって来たじゃろう?」 「ん〜微妙なとこだなぁ」 「お主が見つけだす答えはワシには求めることの出来ない答えだ。直接ふれ合い直接感じることができる。お主ならもっと沢山の物事を知ることができるじゃろう」 そうか、俺にしかできないことがあるんだ 雲のジィサンには知ることのできないことも、ジィサンが知ってることも俺には両方とも知ることができるんだ 長の事も知ることができた 長の近くに気づいた小石の事も 俺は雲のジィサンより知ることができるんだ 教えてあげるよジィサン 俺の知ってること おわり。 |
川縁の長
2006 / 01 / 14 ( Sat ) 私は岩です
気づいた時からココにいます ずっとこの川を見てきました 何日も何年も そんな私を 上流から流れてきた流木が 水を飲みに降りてきた鳥が 私の周りに居る小石達が 私を長と呼ぶようになったのは最近のことだったかな 「長!長!向こう岸に変なのがいるよ!」 小石が大袈裟に言い出した 「アレはね、人間って言うんだよ」 その人間は川に向かって小石を投げて水面を走らせていた 「にんげん?」 小石は気づいたのが私より遅かったので何も知りません 「少なくとも13個は居るよ」 「13個も居るの!?」 「あの高台の向こう側に13個の人間が居るんだよ」 「人間はみんな何してるの?」 「向こう側で空を見上げて小石を投げ上げてるんだよ」 「えぇ!?じゃあ僕も投げられるの!?」 「高台の向こう側に居たらね」 「じゃああそこに居る人間も恐いんじゃないの?」 「うぅん。あの人間は他の人間達から小石を救って、こっちの岸まで投げてくれる人間だから良い人間だよ」 「こっちまで来ちゃえば恐くないもんね!」 私は人間の生活を知っているわけじゃない 13個の人間を見ただけです 人間が空を見上げて小石を投げ上げてそうな気がなんとなくしただけ そんな人間のことを知りたいと思った 鳥が水を飲みに降りてきた 「鳥さん鳥さん、お頼みしたいことがあります」 「長が頼み事なんて珍しいですね?」 「私の破片を高台の向こう側に落として来てもらえませんか?」 私はそう言うと自分の体の端っこを切り落としました また逢えると願いを籠めて 「お安い御用ですよ。その長の一部を置いて来たらいいんですね」 私は私の一部に人間と言うものを見てきてもらおうと思ったのです そして私の一部は旅に出ました 私は来る日も来る日も帰りを待っています たとえどんなに時が経とうと 帰ってくると信じています 今、あなたは何処にいるのでしょう ちゃんと人間を見れていますか? 13個の人間はどんなことをしていますか? 廻り廻ってあの向こう岸にいる人間に投げてもらってこちら側まで帰ってくるのでしょう 何日、何年経ったのでしょう 来る日も来る日も向こう岸の人間は小石を投げてくる でもその中にあなたは居ません いつあなたは帰ってくるのでしょう おわり。 |
