Under the Rainbow
2006 / 09 / 05 ( Tue )
私は結婚して子供までできた。
今はもう小学3年生の母親。
夫は仕事が終わればスグに帰ってくるし、娘とも遊んだりする。
何不自由のない幸せな毎日を過ごしてる。
でも私は、まだあの頃の気持ちを時たま思い出しては空を見上げる。







娘の授業参観の日。
私の目の前で娘は手を挙げて発言する。
後ろから見てて「あぁコレで良かったんだな」と私はまた窓から雨の降る空を覗いた。
今まで空を見上げることなんてなかった。
目まぐるしく過ぎていく時間の中で、空を見上げる余裕がなかったのかな。








「僕は、あの虹の向こうに何か違う世界があると思うんだ」
「違う世界?」
「そう、この地球ではない別の所と、この世界の間に掛けられた橋なんだと思うんだよ」
「その世界から戻れるのかな?」
「わからない」
「戻れたなら、私も連れてってほしいな」
その時、僕は初めて彼の眼の一番奥を見た気がした。
「君には未来があるだろう?結婚するのかは僕にはわからない。君が子供を産んで母親になるのかもわからない。でもどんな未来であれ、君には未来がある。それを大事にするんだ」
なんか、その頃の僕には難しかった。







授業参観が終わり、娘と手を繋いで雨の降り止んだ道を歩いて帰った。
「マァマ!虹だよ!虹!ミキ初めて見たよ!」
娘が指をさす方を見ると確かに虹が掛っていた。
ふとその虹の上を彼が歩いているように見えた。







元気そうだね。



終わり。
20 : 51 | Under the Rainbow | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
Under the Rainbow
2006 / 09 / 04 ( Mon )
あれから1ヶ月がたった。
ちょうど1ヶ月前から彼との連絡が付かなくなった。
あの公園のブランコに乗っても、彼の声は聞こえない。
あの店の窓を覗いても、彼の姿は映らない。
彼はどこに行ってしまったんだろう。






「夜の虹・・・?」
「そう、夜の虹。僕もまだ見たことはないんだけど、むしろあるかどうかすらも怪しいんだけど、僕の中にはその姿がハッキリと映し出されてるんだ」
「スゴく綺麗なんだろうね・・・」
「いつか、いつか僕はその虹を探しに行こうかと思ってるんだ」
「私もその虹が見たいな・・・」
僕がそう言うと彼は、空を見上げて、そこにある何かを見つめていた。








やっぱり僕は君と一緒に行けないんだね。
僕は君と一緒がよかったな。
君が見る風景、君が踊らせる言葉、君と一緒に同じ場所の風を感じたかった。
ねぇマコト君・・・元気?







あの日、あの窓から君が見た物が少しだけわかったような気がするよ。
21 : 31 | Under the Rainbow | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
Under the Rainbow
2006 / 09 / 03 ( Sun )
あれから僕らは何度かあの公園で会うことが多くなった。
彼に聞いてみた。
「あの日、合コンした日、君は何しにあそこに行ったの?」
「あの日か・・・あの日はあそこの窓から見える物が見たかった。ただそれだけだよ」
何が見えたんだろう。
彼の視線の先に何があって、何を見たのか気になった。
「よかったらまた今度見に行って見るかい?君にもわかるだろうからね」





僕はあの男に捨てられた。
散々身体をもてあそばれた挙句のことだよ。
他に女が居たんだ。
慣れっこだから傷ついてなんかいないよ。
でもなんだか彼に逢いたかった。
こんな時、彼ならなんて言うのかな。






「この窓から見えるもの。それは君の心に映るもの。あの時、僕が見たのは綺麗な虹だった」
僕には何も感じなかった。
ただ単に、外を通る車と人の姿、それと僕の後ろでジュースを飲む彼の姿が映るだけだった。
「綺麗な虹?」
彼が見た虹ってなんだろう。







「知ってるかい?夜の虹を」
「夜の虹・・・?」
「月の光で薄っすらと見える虹のことだよ」
僕には彼の眼にその虹がハッキリと映って見えた。
22 : 53 | Under the Rainbow | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
Under the Rainbow
2006 / 09 / 02 ( Sat )
合コンから1週間経った今、あの不思議な彼から電話があった。
僕は殆ど彼の事を忘れていた。
「この前の合コンで会ったマコトだけど」
彼からの電話の時、僕は合コンで知り合った男に抱かれてた。
抱かれながらも僕は電話に出たんだ。






結局、僕は好きでもない男に抱かれて、好きでもない男と付き合ってる。
ぶっちゃけるといつ死んでも良いと思ってる。
何が楽しくて生きてるのかわからなくなってきたんだよ。
別にこの男がウザいとか、嫌いとか、そんなことはどぉでも良いんだよ。
やりたい事ってやつが僕にはないんだ。
だからいつでも死ぬ覚悟はできてる。
そんな事を思って抱かれてた。
マグロって思われただろうな。
それでも良いや。







何日かが過ぎた。
僕はユキと一緒に買い物をしに街に出てきてたんだ。
スタバで時間を忘れて話したり、漫画喫茶でワンピース読んだり。
いつもユキと遊ぶ時はこんな感じ。
今日も同じような時間が流れていく。
でも何かが違う気がしてた。
夜の8時を過ぎて、ユキが彼氏と待ち合わせしてるらしいから僕達は別れた。
僕の家は山の斜面にあって、家の近くに公園がある。
その公園から下に広がる街が見渡せる。
僕は公園のブランコに座って街を眺めてた。
「隣、いいかな?」
「あ、マコトくん?久しぶり」
不思議な彼と僕は街を眺めながら暫く黙っていた。
でも、僕はそれが苦にはならなかった。








「この街のどこかで同じように、この空気を楽しんでる人がいるのかな」
そりゃもうビックリしたよ!
僕の心が読まれてる!ってね。
確かに僕はこの空気を楽しんでる。
彼の言葉が宙で踊ってるのが僕には見えた気がした。








少しだけ、この時間が長く続けばと心のどこかにあるのがわかった。
21 : 25 | Under the Rainbow | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
Under the Rainbow
2006 / 09 / 01 ( Fri )
僕は、彼が好きだったのかもしれない。
なんだろう?この空白のような心は。




僕の友達のユキに誘われて合コンに行ったんだぁ。
大学に行ってる人、高卒で働いてる人、見るからにヲタクな人。
そんな中に彼はいた。
その雰囲気は、昔からそこに座ってるかのような、壁と同化してるような感じがした。
「初めまして。ぼ・・・私はユリって言います。よろしくね」
自己紹介なんかしちゃってさ、僕らしくないよ。
それなりに場は盛り上がってた。
でも、ぶっちゃけ僕はこの合コンがどぉでも良かったんだ。
僕のジュースがなくなったから入れに行くと男がついてきた。
「ユリちゃんユリちゃん!どぉ?楽しんでる?」
「う、うん!楽しんでるよぉ〜」
この男が一番に言いたいことはスグにわかった。
顔を見た途端に心が読めるかのようにわかったんだよ。
「ユリちゃんのアドレス教えてよ」
やっぱりな。
男なんてどいつもコイツも同じことしか考えてないよね。
どぉせこの後にホテルに連れ込まれてヤられるんだよ。
身体目当てでしかないんでしょ。
そぉ思いながらも断る勇気を持ってなかった。






そんな中、彼一人だけ僕のアドレスを聞こうとはしなかった。
あの人、何しに来たんだろう?
「そろそろ私帰るね」
そぉ言って出ようとした。
案の定、男は止める。
その声の中に彼の声は無かった。
ジッと外を眺めた彼の横顔が僕に少しだけ向いて、ニコっと微笑んだ。








それが僕と彼の出会い。
21 : 36 | Under the Rainbow | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
| ホーム |